歌丸師匠の半生をドラマ化したBS笑点ドラマスペシャルの感想

アマチュア落語家の小竜治です。

今、もっともチケットが取れない噺家さんといえば、そう。
桂歌丸師匠ですね。
2016年の5月に笑点を勇退されて、テレビでお見かけする機会が減ったことも影響してるのでしょうか。
落語教室仲間の間でも、チケットが取れないらしいと、噂されてます。

そんな歌丸師匠の半生を描いたドラマが、去年BSで放送されてたって知ってました?

私はBSはおろかテレビすら持っていないので、このドラマを観る手段はなかったんですが、実はHuluで観ることができたんです。
このドラマがけっこう面白かったので、今回はその感想を簡単に書いてみます。

BS笑点ドラマスペシャル 桂歌丸

そのドラマというのが、2017年10月に放送された、「BS笑点ドラマスペシャル 桂歌丸」です。

2016年で50周年を迎えた国民的長寿番組「笑点」。

その人気は色あせることなく、愛され続けています。

そこで今回「笑点」の顔とも言える存在“桂歌丸師匠”の半生をドラマ化!

古今亭今輔師匠に弟子入り。祖母のタネと2人で暮らしながら、弟子仲間と切磋琢磨した時期、寄席に上がり若気の至りで真面目に取り組まなかった時期もあった。

正面からぶつかり、破門にされ、落語家をやめていた時期も…。

多くの人を「まんべんな~く」落語で笑わせたい!

ただその思いで続けてきた桂歌丸師匠の波乱に満ちた半生を幼なじみの妻・冨士子との甘く切ない恋物語とともにお送りします。

私の歌丸師匠に対するイメージは、「二ツ目の頃から笑点に出演してるし、ずっと売れっ子だったんだろう」というものだったんですが、実はそうじゃなかったんですね。
このドラマを観て、初めて知ることが多かったです。

入門時は「桂」じゃなくて「古今亭」だった

落語ファンにとっては当たり前のことなのかもしれませんが、歌丸師匠が入門したのは古今亭今輔師匠という方なんですね。
前座時代の高座名は古今亭今児(いまじ)。
二ツ目に昇進したときも、古今亭今児のまま。

その後、兄弟子である桂米丸師匠の門下に移籍し、桂米坊に改名、そして、桂歌丸に改名してたんですね。
調べればwikipediaにも載ってる情報なのですが、私はこれまで全く知りませんでした。

師匠から干されて寄席の出番をなくす

前述の通り、歌丸師匠は若い頃から売れっ子だと思っていたので、これは意外でした。

「あんたのいけないとこはねえ、今児さん、真面目の上に馬鹿がついてるとこ。しかも最近は、その上にクソまでついた」
「クソは言語道断。真面目なだけでは噺家としてはいかがなものか。でも、馬鹿な人間は馬鹿にゃあなれない」

「噺家に『真面目だねえ』って言うのは『下手くそだねえ』って言うようなもんです」

師匠からの「クソ馬鹿真面目」という言葉に悩み苦しんで、高座をすっぽかすようになり、しまいには干されて高座に上がれないことに。

そして破門

新作を得意とする今輔師匠に対し、たまに上がる高座では古典しかやらない今児さん。
古典を極めてからの新作、という想いが今児さんにはあったんですね。

でも、弟弟子から「兄さんは新作をやらないと寄席からも声をかけてもらえなくなりますよ」と言われてしまいます。

師匠からは「新作やるなら出してやる、っていう寄席もありますよ」と言われますが、今児さんは古典にこだわります。

今児
「あたしは古典で勝負したいんです。古典落語で真打になりたいんです」

今輔
「あたしの弟子でありながら、古典で真打かい?
するってえと、こういうことですか?
ここんとこずーっとお前さんが、たまの高座でも新作をやらず古典ばっかやるってえのは、要は師匠のこのあたしへの、あてこすりってえことですか?」

今児
「そういう部分もあるかと」

今輔
「ああそうかい。あたしはてっきり、お前さんが古典落語に惚れ込んじまってのことだとばっかし思ってましたよ。
古典はいいもんです、神聖なもんです。
それを師匠へのくだらねえあてこすりの道具に使われたとあっちゃあ、そりゃあ古典さんがかわいそうってもんだ。
あたしの下にいることが気に入らねえってんなら、今後一切仕事はまわしません」

ついには破門されてしまいます。

化粧品のセールスマン時代

破門されたこと自体、知りませんでしたが、なんと落語をやめて化粧品のセールスをしていた時期もあったんですね。

「噺家って、つぶしがきかないって思ってるかもしれませんが、人間その気になりゃ、どんなことだって出来るんです。
どんな仕事だって出来るんですから」

ですが、セールスの仕事でミスをしてしまい、奥さんからは「あなた、失格です。落語以外は」と言われてしまいます。

落語のことを完全に忘れられていないことを見透かされてたんですね。

師匠との和解、そして兄弟子門下への移籍、桂歌丸の誕生

弟弟子が兄弟子の桂米丸師匠に声をかけ、今輔師匠との間を取り持ってもらえることになりました。
今輔師匠は、桂米丸師匠の門下へ移籍することを勧めます。

「米丸さんとこの坊主になるんだから、米坊でいいだろ」
「あんたね、もっと馬鹿になりなさい。あんたはもっと馬鹿になれます。馬鹿じゃないんだから」

こうして、古今亭今児から桂米坊に改名したわけなんですね。

そしてそして。
「米坊は子供っぽくていけない。おいら歌が好きだから、歌で丸くおさめる、歌丸ってのはどうだい?」

桂歌丸はこうして誕生しました。

米丸師匠の元でラジオ番組の放送作家も

米丸師匠の弟子になってから、米丸師匠がやっていたラジオ番組の放送作家もされてたんですね。
あと、これはwikipedia情報ですが、この放送作家としての経験がネタ作りの鍛錬になり、古典の掘り起こしの際の一部改作や独自のくすぐりを入れたりするのに役に立ったらしいです。

立川談志との出会い、笑点のはじまり

歌丸師匠がまだ二ツ目だったとき、すでに談志師匠は真打に昇進していました。
その談志師匠が「寄席でやっている大喜利をテレビでもやろう」と立ち上げたのが笑点です。

はじめは談志師匠に対して良く思っていなかった二ツ目時代の歌丸さんでしたが、奥さんの一言がきっかけで、新番組のオーディションを受けることに。

「談志師匠はね、はっきり言ってすごい、すごいなんてもんじゃない、ああいう人を天才と言うんだろうね」

「だったらあなたもすごいわ、そんなすごい人の番組に誘われたんでしょ」

そして新番組の選考会。
二ツ目の歌丸さんが披露したのは、とってもシュールなネタでした。

それに対して談志師匠は「歌さん、あんた最低だな」と、談志流の最高の褒め言葉で返します。

ここから笑点が始まったわけなんですね。

歌丸師匠役は歌舞伎俳優の尾上松也さん

歌丸師匠を演じるのは、歌舞伎俳優の尾上松也さんです。
この方、私は初めて知ったんですが、歌丸師匠の真面目な感じが表れててよかったと思います。

さすが歌舞伎俳優さんなだけあって、落語の口調も綺麗で聞きやすかった。

ところどころに笑点メンバーが出演

ドラマ中、いろんな場面に笑点メンバーが出演されてます。
個人的には、昇太師匠、小遊三師匠、円楽師匠、たい平師匠が出た弁当の場面のやりとりが楽しかったですね。

歌丸師匠の過去の写真も見所

ドラマ中、ところどころで歌丸師匠の過去の写真が映し出されるんですが、これもまたよかったですね。
ずいぶん昔の写真だと思うんですが、歌丸師匠と先代の円楽師匠が隣どうしに座った写真もありました。
私にとって先代の円楽師匠は司会者のイメージしかないので、これは貴重です。

笑点好きなら絶対に観るべきドラマ

以上、歌丸師匠の半生を描いたドラマ「BS笑点ドラマスペシャル 桂歌丸」を観た感想を書いてきました。
私自身、歌丸師匠について初めて知ることが多く、とても楽しめました。
笑点好き、落語好きな方は必見のドラマですよ。